石と本のお店リンネの庭

名著『Rocks from Space(宇宙から来た石)』

隕石コレクター 口絵カラー写真築地書館から出していただいた私(店長)の拙訳書『隕石コレクター』は、おかげさまでいろいろな方から嬉しい感想をいただいております。隕石自体の認知度も最近あがったのか、ちまたでよく見かけるようになりました。鉱物や化石と並んで人気の高まる隕石ですが、静かなブームは既に始まっているのかもしれません。

事実、欧米で隕石ブームの火付け役となったのは、他でもないこの『隕石コレクター』の原著である『Rocks From Space』です。この本はディーラーやコレクター、研究者に至るまで隕石に携わる人のバイブル的な存在であり、いまなお売れ続けている名著です。この本の中に出てくる隕石を探すプロ、“隕石ハンター”やNASA(アメリカ航空宇宙局)の人もこの本を読んでいます。

隕石コレクター 火星探査機パスファインダー 隕石業界では、この本がきっかけとなって生れた言葉が公式な表現として使われています。例えば、書名である"rocks from space (空からきた石=隕石の意)"はNASAでも使われていますし、"meteowrong (隕石まがい:隕石の英語"メテオライト"の語尾ライトを[right=正しい]にかけて、隕石みたいなただの石[wrong=間違い]とかけたノートン氏の造語)"もよく耳にします。

正式な改訂版?! 「隕石コレクター」が出来るまで    

この本が日本語訳されたのは、これが初めて。私がノートン氏に翻訳を申し出ると、氏は大喜びで「分からないことがあったら何でも聞いて」、と大変乗り気でした。氏はこの日本語版を原著の正式な改訂版と位置づけ、再編を一任してくださいました。翻訳作業中も、古くなった情報や最新データの加筆訂正などについて何度もアドバイスをしてくださいました。

隕石コレクター カット ノートン氏と奥様のドロシー(イラストレーター:原著の挿絵を描いている)とはアメリカで2度会いました。初めて自宅へ伺った時、荷物を置いて間もなく、氏の隕石の講義が始まりびっくりしました。隕石となると居ても立ってもいられないノートン氏を、まるで子供を叱るようにドロシーが注意すると、私たち3人は愉快に笑いました。ツーソンでプラネタリウムの館長をしていた氏の家には、ちょっとした博物館のような隕石コレクションが並んでいました。

ノートン氏と訳者 ツーソン・ミネラルショーでお会いした時も、もちろん隕石についての講義や談笑が始まりました。この時はカバー装丁に原書同様、ドロシーの絵が日本版でも使われることなり、イラストデータの解像度についてや受け渡しについてなども話し合いました。望遠鏡のレンズに詳しいノートン氏は、日本の某レンズメーカーでレンズに関する講義を行うために訪日し、2週間ほど滞在されたこともあります。

隕石"学"から隕石を巡る"冒険"まで

隕石コレクター 隕石の原風景みなさんは隕石らしき物体が落ちてくるのを、見たことありますか? 私はあるんです。冬のすんだ夜空に、緑色の眩しい閃光が「ヒュッ」と横切ったのを友達と見ました。それも初詣の帰りにです。

その緑色の光は流れ星よりも大きく、尾を引いて落下したかと思うと、100メートルぐらい上空で明るく輝いて消えました。全て一瞬の出来事です。その物体は、目の前の一軒家の向うの田んぼに落ちたように見えました。

翌朝、友達たちと附近を捜索しましたが、それらしき石は見つかりません。すぐ近くに落ちたように見えたのですが・・・ あとでインターネットで調べたら、この時の流星物質は京都の方に落ちたらしく、しかも地面に届く前に燃え尽きたようでした。残念。でも、この時の感動は忘れません。

実は、隕石の落下は決して珍しいことではありません。しかも、そんな流星物質の情報を聞きつけて隕石の回収をしているプロがいます。その名も“隕石ハンター”です。彼らの隕石探しへの情熱や、回収するまでの執念は、冒険物語さながらの驚くことばかりです。

隕石コレクターの入門書

隕石コレクター 説明図 本書『隕石コレクター』では、彼ら“隕石ハンター”の活躍から隕石の科学的分類、隕石さがしのノウハウまで幅広く網羅しています。この本はいわば、隕石についてのガイド本です。

難しそうな科学的な内容も、写真や図を使って詳しく解説しています。そして隕石の落下現象、クレーター、分類、起源から隕石学の歴史なども盛り込まれています。そして何と言っても、隕石を追い求める魅力的な人々や有名な”隕石ハンター”たちの物語があります。

隕石コレクター 説明図 隕石に対する関心が高い欧米では、新しい本が次々と出版されますが、本書の人気は根強く、アメリカのディーラーやコレクターは「わかりやすく、詳しい」とこの本を一番にあげています。元プラネタリウム館長、科学者、そして隕石コレクターである著者自身のエピソードが、読みやすい本にしているからだと思います。

日本でもこの本が、楽しく読みすすめるうちに隕石の知識が深まる隕石の入門書となってくれれば幸いです。

リチャード・ノートン(Richard Norton)略歴

隕石学の権威フレドリック・レオナード博士のもとで隕石学を学ぶ。アリゾナ大学フランドロープラネタリウム、ネバダ大学リノ校フライシュマンプラネタリウム館長を歴任。セントラルオレゴンコミュニティーカレッジで天文学の教鞭をとる。日本の某レンズメーカーでレンズに関する講義を行うために訪日したこともある。
 大学の講義用科学スライド制作会社サイエンスグラフィックス(Science Graphics)社代表。
 2009年5月病気のため逝去。享年72歳。

江口あとか(えぐち あとか)略歴

1976年北海道生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校地球宇宙科学部地質学科卒業。第19回アルク翻訳大賞実務翻訳部門で大賞を受賞。地学研究家。翻訳家。鉱物関係の執筆を手がける。石と本のお店リンネの庭(http://linnesgarden.com/)を主宰。
 既刊:『ツーソン・ミネラルショー 2006』、『デンバー・ミネラルショー ガイド』(出版デザイン企画マイスタオ)

隕石探査のカトゥーン

『隕石コレクター』は当サイトでご購入いただけます。ご希望により訳者(私)のサインをお付けします。また、隕石(*)と一緒にご購入の場合に限り送料無料です。(* モルダバイトは隕石ではありません。)ご注文フォームの商品No.の欄にBOK2とお書き下さい。冊数もどうぞお忘れなく。
 隕石コレクター(¥3,675-税込み)
               
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この本で解説されている代表的な隕石やテクタイトも販売しています。
                   
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隕石コレクター
■リチャード・ノートン[著]
■江口あとか[訳]

  新 刊隕石コレクター

判 型 四六判
ページ P.392 口絵カラーP.8
発行日 2007年6月
定 価 ¥3,675(税込み)
発 行 築地書館
ISBN 978-4-8067-1345-6

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目 次

第1部 隕石に魅せられし者たち

 1.隕石入門…隕石の見分け方
 2.世界の巨大隕石…
          その発見と回収
 3.世界初の隕石ハンター…
 ハーヴィー・ハロウ・ナイニンガー
 4.Mr.メテオライトマン!…
        ロバート・A・ハーグ

第2部 隕石ハンターになる
           ための隕石学

 5.隕石探し
 6.コンドライト…
    ありふれているが魅力的な
             石質隕石
 7.エイコンドライト…惑星の地殻
 8.鉄隕石…惑星の中心核
 9.石鉄隕石…惑星のマントル   

第3部 宇宙からの石

 10.隕石が語る宇宙の物語
 11.失われた「母天体」を求めて
 12.衝突地質学…
 ネメシスという名の「デススター」

 訳者あとがき
 用語解説
 付録
 事項索引
 隕石索引(和名)
 隕石索引(英名)


Nature Illustrated Series Vol.2
デンバー・ミネラルショーガイド

  好評発売中ネイチャーイラストレイテッドシリーズVol.2 デンバー・ミネラルショー ガイド


Nature Illustrated Series Vol.3
ツーソン・ミネラルショーガイド

イーブックネイチャーイラストレイテッドシリーズVol.3 ツーソン・ミネラルショー ガイド


Nature Illustrated Series Vol.4
ツーソン・ショーファン

 新刊イーブックネイチャーイラストレイテッドシリーズVol.4 ツーソン・ショーファン